チームでの自己主張のすすめ
サッカーを観たことがある方は、フォワードの選手がパスを要求するシーンやGKがディフェンダーに何か指示をしているのを目にしたことがあるだろう。最近は観客が声援を送ってはいけない観戦ルールとなっているため、あるいは無観客で試合をしているため、そんなプレイヤーの声が良く聞こえる。選手らは、「ここにパスをくれれば得点する!」「フリーでシュートを打たせなければ全部止める!」そう「自己主張」を出しているのだ。
自分ができること、チームメンバーにして欲しいことを主張することにより、チーム全体がどう動けばいいのか、どういう関わり方を各メンバーにすればいいのかが分かってくる。そんなチームスポーツの世界にいない社会人(ぼくもそうだ)はチームに対してオフィスで、オンライン上で「自己主張」していることがあるだろうか?
「無い」という答えを出す人が大半なのではないかと思う。ぼくも、かつてはそうだった。だが、「自己主張」はした方がいい。それはあなたが、チームがよりスムーズに働くために必要なものだからだ。
自己主張しあえるドラッカー風エクササイズ
お互いが「自己主張」するためにぴったりな手法がある。ドラッカー風エクササイズというプラクティスだ。『アジャイルサムライ』という書籍で紹介されたその手法は、4つの質問の答えをチーム内で共有する(※ソフトウェア開発の本ではあるが、その考え方はどんな業界・チームにも通じるものである)。
自分は何が得意なのか?
自分はどうやって(チームに)貢献するつもりか?
自分が大切に思う価値は何か?
チームメンバーは自分にどんな成果を期待できるか?
これらの問いを通じてチームの対話と信頼関係をかたちづくる、そんな手法だ。
リモートワークになる前は、付箋を使って4つの質問の回答を各自が書いて共有、という形で実施していた。今はもっぱらオンラインのホワイトボードツールを使っている。下図はMiroでドラッカー風エクササイズを実施した際のぼくの回答だ。
ぼくがオンラインでこのワークを行う際は、見ての通り、各付箋に「いいね」と思ったらアイコンを置いてもらうようにしている。なぜ名前にもアイコンがついているのかは不明だ。これは、ただ各メンバーが読み上げるだけではもったいないので、フィードバックを他のメンバーからもらえる仕掛けである。さらに、コメントをピンクの付箋に書いて、貼ってもらうようにもしている。オンラインでは表情やうなずきといった非言語部分が伝わりにくいため、こうした工夫が必要となるのだ。
独りよがりの主張に気づくことができる
このフィードバックは非常に重要なポイントだ。フィードバックは、その「自己主張」が独りよがりなものか、判断をするための指標になるのである。
「本当にみんながお前にパスを出すのがチームのためだと思ってくれたら、ガキだろうがなんだろうがパスはもらえるんじゃねーのか?」
これは漫画『エリアの騎士』に出てきたセリフである。サッカーがうまいからといって独りよがりのパスを主張していた息子に対し、サッカーを知らない父親が本質を突いたというシーン。見事な助言である。もし、この息子のチームでドラッカー風エクササイズをしていて、チームメンバーからしっかりとしたフィードバックがあったのなら(まったく「いいね」がつかなかったのなら)生まれなかったセリフかもしれない。
ドラッカー風エクササイズは自己紹介にも使える
主張をしあい、フィードバックをしあうことでチーム内の考えがすり合わさっていく。ドラッカー風エクササイズは自己紹介のような形でも使える。得意なことや価値感から人となりが浮かび上がってくるからだ。ただ挨拶をするよりも確実に信頼感は増すだろう。もちろん、チームがかみ合っていないなぁ、というときに使うと効果てきめんだ。
少しでも良さそうだなと思ったのなら、難しい準備などはいらないので、ぜひやってみてほしい。うまくいけばチームのレベルがあがった感覚を得られるはずだ。
編集後記
ぼくの会社のチームメンバーが体調不良になりました。そこで急遽、そのメンバーが行う予定だったワークショップの、ファシリテーターの1人として参加することに。スムーズに引き受けられたのは日頃から情報共有がしっかりできているからなのかなと感じています。思いがけずチームの良い面を知ることができました(体調不良の方には気の毒ですが)。
最後まで読んでいただきありがとうございました!内容が気にいったらシェアをして頂けると嬉しいです。
メール登録すると最新ポストが届きます。登録されていない方はぜひご登録をお願いします!