個人の学習にフォーカスしたふりかえりはチームにも効く
こんにちは、チーム整え師の渡部です。
先日、チーム作りを支援しているソフトウェア開発チームがサービスリリースをしました。これからも開発は続いていきますが、一区切りということでプロジェクト開始から半年間のふりかえりを行いました。個人の学びをテーマにふりかえりを行ったのですが、チーム全体として良かったこと、もう一歩だったところも浮かび上がってきました。チームの動きにフォーカスしたふりかえりもいいですが、何回かに1回は個人に絞ったふりかえりをするのも良さそうです。
個人の学習に視点を合わせた背景
このチームではスクラムというソフトウェア開発のフレームワークを使って開発をしています。スクラムでは1ヶ月以内の決まった間隔でチームのプロセスや関係性に注目したふりかえりを行います。僕たちは隔週でふりかえりを行っていました。チームとしてのふりかえりはできていること、次の開発のチーム体制が固まっていなかったこともあり個人の学んだことをふりかえられるような時間を設けようという話になりました。
また、研修やワークショップで学んだことを整理するために個人にフォーカスしたふりかえりを行うことはありましたが、チームとして行うことは初めてだったので実験的な意味もありました。
以下に実際に行ったワークを紹介します。
タイムライン
まずは「タイムライン」を使って半年の間に起こったことを思い出しました。
上図のように横に時間軸、縦に感情の軸を置きます。上にいくほどポジティブな感情、下のいくほどネガティブな感情です。まず、この半年間でどういう事が起こって、その時何を感じたのかを個人で付箋に書きだします。個人で書けたら、チーム内で古いものから共有をしていきます。
このようにチーム全体で時間をかけてできごとを思い出すことにより、何をしてきたかだけでなく、自分も含めたチームメンバーが当時どう感じていたかを共有することができます。
4Ls
記憶がよみがえった次のステップとして、「4Ls」を使って学んだことを整理しました。
4Lsとは上図のように下記4つの観点(いずれもLが頭につくので4Lsといいます)で学びを整理するふりかえりのフレームです。
Liked:好きなもの、気にいったもの
Learned:学んだこと
Lacked:自分あるいはチームに足りないこと
Longed for:望むもの
個人作業を行ったあと、3人グループを作りお互いのふりかえりを共有する時間を設けました。自ら話すこと、周りからのフィードバックを受けることでより深いふりかえりにつなげるのが狙いです。グループでの対話は3回くりかえし、いろいろな人と話す機会を設けました。
最後に各自の感想を聞いてふりかえりを終えたのですが、その感想の中に興味深いものがありました。「みんなの成長が実感できた」、「始めはギクシャクしていたが、後半は良いチームワークが発揮できた」というチームとしてプラスだった点に加え、「ドメイン知識をもっと増やしたほうが良い」、「属人化が起こっているので解消したい」というチーム目線での改善ポイントが出てきたのです。チーム全体としてのウィークポイントが浮かび上がってきたのは予期していなかった大きな収穫でした。
おわりに
結果として自分の良かったことと足りなかったこと、チームとして良かったことと足りなかったことの両方をふりかえることができました。個人の学びは忙しい日々に追われているほど見過ごされがちな観点です。チームの力は個々の能力の総量と相関があるのは明白です。こうしたチームとしてのふりかえりの場で個人の学びにフォーカスする機会を作るのは有意義な活動だと感じました。また、チーム全体の傾向も浮かび上がってくるので今回のように新たな発見があるかもしれません。今後のチーム活動にも取り入れていきたいと考えています。
編集後記
とあるイベントがきっかけで深層民主主義(ディープデモクラシー)という概念を知りました。あらゆる人のあらゆる声(感情など声にならない声も含む)がないと正しく現実を捉えられないという考え方です。チームビルディング、ファシリテーション、コーチングのレベルアップに繋がりそうな気がしているので深掘りをしていきたいなと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!内容が気にいったらシェアをしていただけると嬉しいです。
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