【レポート】ふりかえりカンファレンスへの参加・登壇で得た学び
ぼくが「ふりかえり」と聞いて思い出す一番古い記憶は、小学生の時の受験勉強だ。定期的に模擬試験を受け、結果の分析をし、目標としている私立中学校の試験に受かるための作戦を立て、実行に移していく。このような、目標に対して現在の状況確認と分析、作戦を立てることが「ふりかえり」だと僕は思っている。志望していた中学校に合格できたのは「ふりかえり」と今はなき山田義塾のおかげである。
「ふりかえり」と聞いて、ぼくのように受験勉強を思い出す方、日記やライフログを思い出す方、チームでおこなうふりかえりを思い出す方もいるだろう。そんな様々な「ふりかえり」をテーマにした(おそらく日本初の)カンファレンスへ参加・登壇してきた。本ポストでは、ぼくの登壇内容の紹介と、特に心に響いたセッションを紹介する。
※ふりかえりカンファレンスの詳細はこちらから
登壇:ふりかえりにおける意思決定を考える
今回はふりかえりをテーマの中心としつつ、「良いふりかえりをするためには良いチーム作りが必要である」ということを述べた。これは最初から用意していた結論ではなかった。当初はチームにおける意思決定の質とスピードが上がればより良いチーム活動ができるのではと考え、その方法論を述べようと思っていたのだ。ちなみに、ここではふりかえりにおいて議論するトピックの選択、あるいはアクションアイテムを決める行為をチームにおける意思決定と定義している。
意思決定について調査しているうちに上記の結論にたどり着いた。あらためて考えてみれば当然で、あらゆるチーム活動の質は良いチーム作りにかかっているのだ。意思決定についてはこれからも勉強・実践を続けていきたい。
心に響いたセッションの紹介
タイトルからは想像できないが、本質を突いた川口さんの金言が随所に散りばめられていた。特に「仕事が楽しくないのは、仕事がへたくそだから」という言葉が非常に響いた。ぶっ飛んだ考え方に聞こえるかもしれないが、これを趣味に置き換えてみるとどうだろう。スポーツ、ゲーム、料理、あるいは最近の流行であるキャンプでもかまわない。もちろん初めて触れたときのワクワクはあるだろうが、これらが継続的に「楽しい」と思えるのはある程度うまくなってきてからではないだろうか。
仕事をうまくできるようになるという考え方はこの先、常に意識していきたい。
そして、たいていの仕事はチームで行うものである。下記のセッションではチームでのふりかえりをうまくしていくための実例が紹介されていた。
この資料にはチームのふりかえりを良くするための、よこなさんの試行錯誤がまとめられている。特にふりかえりをこれから始める、あるいは始めたばかりのチームにとって非常に参考になるだろう。ぼくは23枚目に紹介されている5象限のふりかえりが非常に参考になった。
もう少しチームが進んで、ふりかえりが定着してマンネリ化してきたチームには以下の2つのセッションの内容が刺さるだろう。
ふりかえりの中でふいに出てくる生々しい、冗談のようなトピック。例えば「給料がもっと欲しい」という心の声だ。そのトピックを見過ごすことなく、チームを良くするきっかけにしようという内容。ぼくは正直、こういった視点でふりかえりを見ることができていなかった。しかし、本来はこうしたチームの根元にあるような要求を解決していくのが真のふりかえりの姿なのだろうと感じた。
チームに関するもう1つの心に響いたセッションは、同じ "シン" でもシン化のシンだ。
こちらのセッションでは、ふりかえりのマンネリ化=「ふりかえりが当たり前の状態」の一歩手前の状態であると説いていた。さらに、その先には常にカイゼンが行われる常在ふりかえりの世界があるという考えには非常に共感した。ふりかえりをするタイミングはいつでも良いのだ。ハーフタイムで作戦会議をするスポーツは多くあるが、フィールドでは選手同士が常に話し合いをしている。これまでの流れを鑑みて、これからどう動いていくべきか。そのような内容のコミュニケーションをとっているのである。我々の仕事においてもそうでありたい。
また、今回のカンファレンスような場で知識を共有するだけではなく、社内の他のチームと学び合っていくことで組織がいきいきとしていくという考えも提示された。登壇者の小田中さんの元同僚であったぼくにはとても響くものがあった。
また、チームだけでなく、個人のふりかえりも大切だ。
ぼくは、チームがうまくやっていくためには個人がうまくやっていくことも必要だと考えている。これは見過ごされがちだが大事な視点だ。チームで動く以上、ある程度の個別最適化が考慮されないのは仕方がないことだが、個々の能力やモチベーションはダイレクトにチームに影響する。それぞれのメンバーが自分で考え、チームとしてうまくやるための「選択」をしていくことがチーム活動には求められる。個人のふりかえりをするためのヒントになるセッションだった。これも1つの「ふりかえり」である。
ちなみに、その他のセッションの資料は下記ページにまとまっている(カンファレンス実行委員の増田さんに感謝)。資料が公開され次第、随時更新されていくと思われるので気になるセッションの資料を見たい方は要チェックだ。
キーノートで響いた内容
忘れてはいけないキーノート。残念ながら資料は公開されていないが、その神髄は登壇者の平鍋さんが作ったプロジェクトファシリテーションに見ることができるだろう。ソフトウェア開発の文脈で書かれたものであるが、伝えているものは他の分野でも使えるものである。プロジェクトの活性化に興味のある方はぜひ下記リンク先の資料に目を通していただきたい。
ここではキーノートの中で紹介されていた「老子」の言葉について述べたい。
人々に学び
人々と一緒に計画し
人々が持っているもので始め
人々が知っていることの上に築きなさい
リーダーが真に優れていれば
終わってみると人々は口々にこう言う
「自分たちの力でやり遂げた」と
(老子の言葉。 ハーバード・ビジネス・レビュー 2005年 09月号 より)
ぼくが「ふりかえり」と聞いて思い出す一番新しい記憶は、チーム作り支援をしているチームが行っているふりかえりだ。支援を始めてから、計10回ほどのふりかえりをファシリテートしてきた。自分たちの力をより高められるよう、真剣にふりかえりに取り組んだおかげでチームは右肩上がりに成長し続けている。ぼくの役割は、ぼくがいなくなってもこの成長状態を維持できるようにすることだ。老子の言葉を聞いて、背筋が今までにないくらい伸びた気がした。
終わりに
カンファレンスが終わり、感じた事を一言で表すのなら、「ふりかえりは何にでも通じている」である。個人、チーム、家庭、仕事、感情と「ふりかえり」が様々な話題に波及していた。我々がより良く、健やかに生きていくために「ふりかえり」は必要なものなのだなと感じたカンファレンスだった。当日の運営もスムーズで、学びの多いカンファレンスを開催した実行委員の方々に感謝。来年も開催予定とのことなので、次回もぜひ参加をしたいと思っている。
編集後記
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』という本を読みました。今まで「書くこと」に関する本を何冊も読み、下手なりに勉強してきました。しかし、この本で述べられていることはハッとさせられることが多く、今までの自分の書く活動を見つめ直す良い機会となりました。何かしらの「書くこと」をしている方に非常におすすめです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!内容が気にいったらシェアをして頂けると嬉しいです。
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